top of page

#004 人は月の変化をどこまで感じ取っているのか

  • 5月31日
  • 読了時間: 4分

満月の日に眠れない気がする。

新月の頃は静かな気持ちになる。


そんな感覚を持ったことがある人は少なくありません。


一方で、


「それは気のせいではないか」

「科学的根拠はあるのか」


という疑問もあります。


実際のところ、人は月の変化をどこまで感じ取っているのでしょうか。

この問いに対して、科学はまだ完全な答えを持っていません。


しかし近年の研究からは、

「人間は自分が思っている以上に、環境の変化を受け取っている可能性がある」

ことも見えてきています。


私たちは思っている以上に環境の影響を受けている


人間は理性的な存在だと考えられがちです。


しかし実際には、身体は常に環境の影響を受けています。


たとえば、


- 朝日を浴びると目が覚める

- 雨の日は眠くなる

- 気圧が下がると頭痛がする

- 春になると気分が変化する


こうした現象は、多くの人が経験しています。


特に光は、人間の生体リズムに強い影響を与えます。


1990年代以降の研究では、網膜が受け取る光が脳の視交叉上核(SCN)に伝わり、体内時計を調整していることが明らかになりました。

(出典:Moore & Eichler, Brain Research, 1972)


つまり私たちの身体は、意識していなくても常に外界の変化を感知しているのです。


月明かりは昔、今よりはるかに大きな存在だった


現代では、夜でも街に光があります。

しかし人類の歴史のほとんどの期間、夜は本当に暗いものでした。

電灯が普及したのは、ごく最近です。


そのため満月の夜は、現在の私たちが想像する以上に特別な意味を持っていました。


実際、満月の夜の照度は0.1〜0.3ルクス程度とされています。

これは室内照明よりはるかに暗いものの、真っ暗な夜と比べれば大きな差があります。


農作業。

狩猟。

移動。

儀式。


古代人にとって満月は、夜の活動を可能にする自然の光源でした。

そのため人類は何万年もの時間をかけて、月の変化を観察しながら生きてきたと考えられています。


身体は“意識より先に”反応していることがある


興味深いのは、人間の身体が必ずしも意識と一致していないことです。


たとえばストレス研究では、

本人は「大丈夫」と感じていても、


- 心拍数

- コルチゾール

- 筋緊張


などは反応している場合があります。


睡眠研究でも同様です。

脳波では睡眠の質が低下していても、本人は気づいていないことがあります。


つまり、

「感じていない=影響がない」

とは限らないのです。


逆に、

「感じている=必ず生理的変化がある」

とも限りません。


人間の感覚と身体は、なかなか複雑なのです。


月周期と人間のリズム研究


近年、一部の時間生物学研究では、

「人間にも月周期に近いリズムが残っている可能性」

が議論されています。


たとえば2021年、ワシントン大学の研究では、月明かりが強くなる時期に人々の就寝時刻が遅くなる傾向が報告されました。

(出典:Casiraghi et al., Science Advances, 2021)


研究者たちは、

「人工照明のない時代、人類は満月の夜により活動していた可能性がある」

と考察しています。


また女性の月経周期と月周期の関連についても長年研究されています。

ただしこちらも現時点では、

「明確な同期が存在する」

とは言えない状況です。

(出典:Harris & Vitzthum, Human Reproduction, 2013)


つまり科学は、

“完全否定”にも“完全肯定”にも至っていないのです。


月を感じているのか、それとも自分を感じているのか


ここで、とても興味深い問いがあります。


私たちは本当に月を感じているのでしょうか。

それとも、

月をきっかけに自分自身の変化を感じているのでしょうか。


たとえば満月を見ると、

少し立ち止まります。

空を見上げます。

静かな時間が生まれます。


すると普段は見過ごしている感情や疲労に気づくことがあります。


その意味では、

「月の影響」

というより、

「月が観察のきっかけになっている」

とも言えるかもしれません。


AI時代に失われつつある感覚


現代では、私たちは数字や情報に囲まれています。


歩数。

睡眠スコア。

心拍数。

通知。


それらは非常に有用です。


しかし一方で、

「今日はなんとなく静かだ」

「少し疲れている気がする」


という曖昧な感覚に触れる機会は減っているのかもしれません。


人間は本来、環境を感じながら生きる存在でした。


風。

光。

気温。

季節。

月。


それらを観察しながら、自分自身も観察していました。


Moon&Meが大切にしたいのは、

「月に特別な力がある」と信じることではありません。


月をきっかけに、

自分の身体や感情に意識を向けることです。


人は月の変化をどこまで感じ取っているのでしょうか。

その答えは、まだ完全にはわかっていません。


けれど少なくとも人類は何千年も月を見上げながら、自分自身の変化を観察してきました。


もしかすると私たちが感じ取っているのは、

月そのものだけではなく、

自然の中にいる人間としての自分自身なのかもしれません。

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page